デメリットがないわけではない
魅力もあるが注意すべき点もある
事業者側
まず事業者側のメリットですが、介護と障害福祉を一体化する共生型サービスの導入によって人材不足を解消できるというメリットがあります。また、共生型サービス事業所としての報酬請求が可能である点もメリットでしょう。さらに、それぞれ介護事業所と福祉事業所として個別に運営していたところが、どちらにとっても認定を受けやすい状況になる点も見逃せません。また、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方々が対象となり、同じ空間で過ごすことになるので利用者同士の交流が生まれ、お互いにサポートし合います。もちろん、利用者同士の交流がスムーズに行われるように環境整備をしなければならず、その点は負担と言えるかもしれませんが、上手く環境を作ることで高齢者が障害を持つ子どものサポートをしたり、子どもから高齢者が元気をもらったりと、利用者同士がいい影響を与え合うことがあります。利用者に役割ができることで現場で働く職員の負担軽減にもつながり、結果としてサービスの質が向上します。
しかし、デメリットとなり得ることもあります。例えば、今まで介護・福祉どちらか一方の利用者としか接してこなかった職員の精神的な負担です。介護現場では利用者への配慮が求められます。子どもと高齢者が同じ空間で過ごすため、今まで以上に事故やトラブルの想定、そのうえでの環境整備が必要になります。ケアマネジャーなどとの連携も一層強化しなければならないため、職員への負担増加が今のところの課題であると言えます。
利用者側
利用者側のメリットですが、介護保険優先原則による障害福祉サービス中断に対する不安がなくなることが最も大きいでしょう。今までは自立支援給付に相当するサービスが介護保険法でも提供されている場合に、介護保険法のサービスを優先的に利用しなければなりませんでした。そのため、介護保険の対象となる65歳になると今まで利用してきた障害福祉サービスを継続して利用できず、介護保険のサービスに強制的に切り替わってしまう問題がありました。障害者支援のスキルが高いヘルパーにお世話になっていたのに、介護保険優先原則によりサービスが切り替わったことで障害者支援が苦手なヘルパーが担当になってしまったというケースもあります。それが、共生型サービスの導入により解消されます。
デメリットとしては、共生型サービス導入によって今までお互いに接することがほとんどなかった高齢者と障害者との交流が生まれるため、混乱が生じる可能性があります。そのため、双方の利用者をしっかりとサポートできる受け入れ体制の整備が望まれます。