大学生の存在が光る北海道での一例
学生たちの取り組みから始まった
北海道でも増えている
近年北海道では高齢者や障害者・障害児者など地域の住民が必要な福祉サービスを受けられて、交流を図る場としての共生型福祉施設の設置が進められています。居宅介護や通所介護のサポート、高齢者や障害者の一時預かり、利用者同士の交流を通じた相互理解など、様々なニーズに対応できる施設として注目されています。北海道は他の都府県に比べて圧倒的に土地が広く、居住地域が点在しています。そのため単独の介護・福祉サービスの提供が難しいです。そういった地域であっても、サービス提供の幅が広い共用型施設を設置することで従来以上の福祉サービスの提供が可能となります。商店街の空き店舗を改修して交流の場を設けるなど、地域コミュニティの再生を意識した取り組みも増えています。
当別町の取り組み
札幌市と江別市の境界に接したところにある当別町。そこに拠点を構えている社会福祉法人の取り組みを紹介します。2002年に福祉大学の学生が障害(児)者の一時預かりサービスとして始めた事業所でしたが、その後着実に利用者が増え、運営する学生が卒業を迎える2005年にNPO法人を取得し、ホームヘルプサービスを開設しました。さらに2006年には事業所を移転し、障害児の放課後デイサービスを開設。そしてついに、2008年に共生型福祉施設を開設しました。年齢や障害の有無で利用者を区分けせず、ケアが必要な人を広く受け入れる方針で運営され、地域に住む様々な人との共生を目指して事業展開しています。この事業所にはボランティアセンターが併設されており、事業所と当別町の社会福祉協議会が運営するボランティアセンターが共に福祉業務に取り組んでいます。そのためボランティアに関する情報や福祉サービスの情報共有が格段にスムーズで、ボランティアを提供する側と募集する側双方が活動しやすくなりました。二者間の情報伝達がスムーズなので、スピード感を持って必要な福祉サービスを住民に提供することができます。
また、駅前に設置しているサロンは子どもから高齢者まで幅広い層の人々が利用できるようになっており、知的障害者によるお菓子の製造販売や、高齢者ボランティアによる地域の子どもたちとの交流が行われています。これは高齢者の介護予防にもつながる取り組みです。その他にも、厨房を地域の飲食店や主婦の方々に貸し出して安く食事を提供する取り組みなどを行っています。こういった取り組みをすることで地域の交流が活発になり、高齢者や障害者が役割を持って生活を送ることができます。自然と地域住民の理解も深まり、お互いに支え合う意識が強まります。