正しい情報の普及が求められている
正しく理解すればサービスは普及していく
サービスの違いについて
共生型サービスを提供する事業所がなかなか増えない理由のひとつに、経験がないことからくる不安があります。介護あるいは障害福祉の知識があっても、もう一方についてはなんとなく難しそうだからといまいち踏み出せないでいる事業者が多いのです。確かに介護保険サービスは高齢者が対象であるのに対して、障害福祉サービスは年齢の幅が広く疾患の種類も多いです。そのため高齢者介護とは異なる視点でのサポートが必要になることもあるでしょう。精神疾患を持つ人をサポートする際には、精神疾患の知識も必要です。
とはいえ、実際に共生型サービスを提供している事業者の話を聞くと、必要な配慮などに大きな違いはないという声が多いです。細かいところで言えば、障害福祉の現場ではより一層自立支援の意識が求められるようです。例えばうつ病の方へ家事支援サービスを提供する場合、利用者へ声がけをしながら掃除や調理などを一緒に取り組み、生きる意欲を取り戻していきます。それを続けていくことで徐々に利用者のやれることが増えていき、元気な状態に戻っていきます。このように回復の課程がはっきりと見えることは、高齢者への介護サービスでは少ないです。これが大きなやりがいにつながります。また、障害福祉の現場では同年代の利用者と一緒に共通の趣味について話したりすることもあります、お互いに楽しんでサービスの提供ができる点が魅力だというヘルパーもいます。高齢者との関わりとは異なる部分があるからこそ、もしかしたらこっちのほうが自分に向いているかもしれないと感じる職員も多いです。
書類作成に関して
いまいち共生型サービスが普及しないもうひとつの理由として、書類作成の煩雑さが挙げられます。共生型サービスを提供するためには介護保険サービスと障害福祉サービスそれぞれの書類を作成する必要があります。ただし、障害福祉サービスは介護保険サービスで必要となる提供実績の報告が必要ありません。もしかするとそれを知らず、二の足を踏んでいる事業者がいるかもしれません。
徐々に取り入れているケースも
基本的には介護保険サービスの事業所として運営している一方で、障害福祉サービスの指定も受けているという事業所があります。こういった事業所では、支給限度額を毎月超えてしまっている利用者に障害者手帳を取得してもらい、サービスを提供しているというケースが多いようです。そのため、提供しているサービスの内容は限定的なものになります。この場合対象者は高齢者のみになりますが、そこから徐々にサービス提供の間口を広げている事業所が増えてきていますので、こういった入り口から共生型サービス事業所が増えていくことも期待されています。