共生型サービスの概要
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新たなつながりを作るために
日本人には昔から、困ったときはお互いさまという考え方があります。しかし最近は高齢化や人口減少、核家族化などが進み、周囲とのつながりが薄くなってきています。助け合いの精神は社会保障制度という形になって日本を支えていますが、人材不足や経済活動の影響によりこのままでは必要な社会福祉を提供することができなくなってしまいます。そこで注目されるのが共生型サービスです。これにより、高齢者への介護と障害者への福祉をスムーズに提供することが可能となります。
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地域共生社会で担う役割
これまでは介護保険と障害福祉の制度は縦割りになっており、今まで障害福祉サービスを受けていた人が65歳の高齢者になり介護サービスも受ける必要が出てきたときに、強制的に介護保険に該当するサービスに切り替えられ、今まで受けていた福祉サービスを中断せざるを得ないという問題がありました。こういった問題を解消するため、介護保険または障害福祉の指定を受けた事業所がもう一方の指定を受けやすくなるのが共生型サービスです。地域の包括的な支援を可能とする制度で、非常に重要な役割を担っています。
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決まり事が多いので注意も必要
共生型サービスの導入により、介護サービスと障害福祉サービスを組み合わせたケアの提供が可能ですが、すべてのサービスを提供できるわけではないので注意してください。また、報酬体系も通常運営とは異なるため注意が必要です。組み合わせが可能なサービスは、介護保険・障害福祉サービスそれぞれで言うところの、デイサービス、ホームヘルプ、ショートステイです。ただし、介護保険の通所介護に含まれる療養通所介護は重度の利用者が対象なので範囲外になることもあるなど、細かく定められている部分があります。
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デメリットがないわけではない
共生型サービスには様々なメリットがあります。例えば事業者側のメリットとして、人材不足の解消が見込める、共生型サービス事業所としての報酬請求が可能である、といった点が挙げられます。利用者側としても、今まで慣れ親しんだ障害福祉サービスを継続して受けられるメリットがあります。しかし、デメリットとなり得る点があることも事実です。事業者側としては職員の負担が考えられます。利用者側としては利用者同士の交流によって生じる混乱が考えられます。